体験型物語創作を行っている色鳥のページです。主にマーダーミステリーを現在制作しています。
——市松人形が市松人形に殺された!?
そんなセンセーショナルな題字で大正のと或る日の新聞は彩られた。
舞台は、街外れにある一識家の屋敷——別名『人形屋敷』。屋敷の主人で人形コレクターの一識 敦士氏が集めたという人形は千を超えると言われている。事件の本題に入る前に、この屋敷の噂について触れておこう。夜な夜な、人形に魂が入り、魂が人形の体を操って、おぞましい生き人形となり蠢いているという噂がある。それにこんな噂もある。敦士氏は過去に恋人を引き裂いては女の方を妾にし、孕ませては殺していたと言われているのだ。敦士氏は断固否定している。だが、その妾の魂が他の哀れな女の魂を呼び、生き人形になり、泣き叫び、蠢いているとしたら、それはなんと哀れな話だろうか。
この噂話を踏まえた上で、事件のあらましを述べる。事件が起きたのは今年の9月30日。一識邸では親しい人を集めて新作人形お披露目パーティーを執り行う予定だった。呼ばれたのは、民俗学専攻で生き人形について研究している帝都大学教授の森 林也氏、新作人形制作を手掛けた泉 京介氏、花房座の座長である山吹太夫、同じく花房座の三弦 狐太郎氏、三弦 紅葉嬢、梅嬢の6人であった。迎えるのは、敦士氏、その御令嬢の一識 春嬢、家令の長谷部 極氏を始めとする使用人達である。
15時頃から集まった客人達は自由に屋敷を散策して楽しんでいた。ところが18時頃、春嬢は人がいて抜け出せない状態にいたにも関わらず奇術師か何かのように自室から消失。そのことから、客人も長谷部氏を含む使用人達も春嬢を心配して探し回っていたのだが、見つからなかった。20時頃、使用人の悲鳴を聞いて、皆が市松人形の部屋に集まった。
——そこにあったのは椅子に座った市松人形。その胸には小刀を握った市松人形。胸に滲むは惨憺たる赤。まさに市松人形が市松人形を殺していた。
近づいてよく見ると、血を流している市松人形は市松人形姿の春嬢だった。これは噂の生き人形による殺人なのだろうか。それとも、何者かによるものなのだろうか。探偵小説のようなことが起こった。読者諸氏には、この謎が解明できるだろうか。
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